40年棚上げ山陰新幹線「山陽の代替」アピール


 山陰新幹線は実現するのか――。山陰を経由して、福井県から山口県までを結ぶ超高速鉄道の整備を目指し、鳥取市松江市など7府県の55市町村が5日、「山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議」を東京都内で設立した。


 利便性に加え、「山陽側が災害に遭った時の代替ルートにもなる」と防災面を強調して国に働きかけていくが、費用対効果の壁は厚い。

 東日本大震災で代替交通手段の重要性が注目されたことなどから、松江、鳥取、京丹後(京都府)の3市が今春呼びかけた。参加するのは、福井県京都府大阪府兵庫県鳥取県島根県山口県の市町村。

 設立趣意書では、他の地域では新幹線の整備やリニアモーターカーの計画が進んでいるのに、「山陰は置き去りにされてきた」と主張。災害時に山陽側の高速鉄道網が遮断された場合のリスク回避にもつながるとし、新幹線かリニアを走らせてほしいと、国に求めていく。

 国土交通省などによると、実は1973年、全国新幹線鉄道整備法の基本計画で松江市鳥取市の付近を経由する「山陰新幹線」(大阪市下関市)が「建設を開始すべき路線」として盛り込まれていた。しかし、この年、オイルショックが起きたこともあり、国の財政難を理由に40年間棚上げ状態になっている。

 超高速鉄道の実現は、莫大ばくだいな整備費に見合う効果があるかが鍵という。2011年に全線開通した九州新幹線(博多―鹿児島中央)は建設費総額1兆5210億円。リニア中央新幹線(東京―大阪)は概算で9兆300億円かかっている。

 九州新幹線は12年度、1日平均2万4900人(博多―熊本)が利用。一方で、JR西日本米子支社によると、山陽新幹線に接続する岡山と米子を結ぶ特急やくもの利用者は5月の大型連休の多い日でも1日約2500人。同省幹線鉄道課は「我々も災害対策という視点はもちろん持っているが、やはり費用に対する効果が課題ということは変わらない」とする。

 これに対し、松浦正敬・松江市長は「生きている間に実現するかわからないが、今、スタートを切らないと実現しない。日本海側の国土軸形成につなげたい」といい、鳥取市交通政策課の担当者も「実現には長い時間がかかる可能性もあるが、会議をつくり第一歩を踏み出せた。今後、関係市町村と協力して、構想が前に進んでいくよう、取り組んでいきたい」と話している。


(2013年6月10日16時48分 読売新聞)

 40年間棚上げになっていた山陰新幹線の実現に向けて島根県鳥取県自治体の動きが活発になっているようです。
 
 こうした鉄道(新幹線)の敷設は「国土の均衡ある発展」のもとに大型公共事業実施し地方(選挙区)に利権を持ち帰る自民党型政治のもとで行われていたことでもありますが、アベノミクスのおこぼれにあずかりたいという地方の意図が透けて見えるといえばいいすぎでしょうか。無論、山陰新幹線が地方の活性化に役立つこと、新幹線自身も黒字経営が見込めるのであれば「無駄な公共事業」にはならないので大いにやればいい。雇用の創出や景気にもプラスになるでしょう。しかし、山陰新幹線について国土交通省幹線鉄道課は費用対効果が課題、すなわち赤字路線になる可能性が高いということであまり乗り気ではなさそうです。莫大な税金を投じて造ってみたものの赤字経営では「税金の無駄使い」と非難轟轟となることは目に見えてますから中央省庁としては慎重にならざるを得ないのは仕方がないでしょう。

 山陰新幹線を熱望する地方の自治体の方々には失礼ですが、この記事を最初見た時「豪雪地帯に新幹線を走らせて何になる」、「災害で山陽新幹線の代替のため万年赤字路線を維持するくらいなら、復旧まで少々不便は我慢した方がいいのでは」と思い、また地元(選挙区)に利益を持ち帰り政権の座を維持する自民党の古い体質の政治が蠢く恐れもあるということでやはり山陰新幹線の構想には賛成できないというのが率直な所感です。

 その後少し考え直して次のような条件のもとに山陰新幹線を整備するというのなら賛成に回ってもいいとも考えました。

 <条件>
 1)山陰新幹線を黒字路線にするよう沿線自治体が乗客の獲得に努力をする。
 2)山陰新幹線が赤字となった場合、その赤字部分を沿線自治体が負担する。

 山陰新幹線の沿線自治体が観光客を集めて新幹線の利用を増やすように努力するということです。ただ、努力するだけでは真剣に観光地として集客を増やす努力を自治体が怠ることも考えられます。だから、新幹線が年間で赤字になったときは、集客努力を怠ったということでその赤字を沿線自治体が補てんするするということにすれば、観光客集めに必死になるでしょう。
 沿線自治体もただ新幹線の整備をお願いするだけではなく、新幹線が赤字にならないよう観光客集めのプランを用意し赤字になったときはその補てんは必ずすることを約束して国土交通省が首を縦に振りやすくするように努めるべきでしょう。
 単なる物ねだりでは、かつての「自民党の地元利益誘導」という政治家頼みの旧態政治を今更ながらに続けることになります。これからは、自治体の発展や日本の経済成長に本当に役立つもののみ大型公共事業の対象にすべきで、地方に新幹線を走らせる必然性を明らかにして新幹線の整備を主張してほしいと考えます。